ナリワイをつくる。
この言葉を見てあなたはこの本が気になったのではないでしょうか。
僕も本書を読むきっかけは、
「ナリワイ?ってことは、複業の仕方を教えてくれるのかな?」
と考えたからです。
しかし本書はよくある複業おすすめ本ではなく、人生をあらためて見直すきっかけを僕に与えてくれました。
もしあなたが、
「サービス残業がつらい……」
「収入が増えなくて、将来が不安……」
「転職したいけど、仕事が見つからなかったら家族を養えない……」
上記のようなことで悩んでいるなら、『ナリワイをつくる』はそんなあなたを救うことができるかもしれません。
『ナリワイをつくる』をざっくりまとめるとこんな本
『ナリワイをつくる』を(乱暴ですが)一言でまとめると、次のような本です。
全世界を競争相手に殴り合いを挑んでも、健康を維持したまま目標を達成できる『バトルタイプ』の人間ではなく、競争をすることで疲弊し健康を損ねてしまう『非バトルタイプ』の人間が自由に生きるための、知恵と勇気を与えてくれる本
本書では明確に定義していませんが、『バトルタイプ』は僕の中で、
SNSやメディアの向こうでキラキラと輝いている
というイメージです。
例えばアップル創業者のスティーブ・ジョブズやソフトバンクグループの孫さん、楽天グループの三木谷さん。
サッカーだと、本田選手もその一人でしょう。
逆に『非バトルタイプ』の人間とは、
そこそこの収入があれば特に出世欲がなく、家族との時間を満喫でき、何ならさっさと嫌な仕事をやめて、のんべんだらりと残りの人生を過ごしたい
要するに僕のような人間です(笑)。
自己啓発本の多くはバトルタイプの戦闘力を上げる方法が書かれているのですが、残念ながら非バトル型の人間がうまく人生を過ごす方法を、僕は読んだことがありません。
では、非バトルタイプの人間がバトルタイプのように人生を過ごすとどうなるか。
『非バトルタイプ』の代表である本書の著者は、下記のように書いています。
私自身も小さなベンチャー企業で日夜働いていたときには、家での生活と会社での生活が完全に分離していて、当時の記憶があまりない。ストレスなのか、寝る前にハーゲンダッツを食べないと眠れないこともしばしばであった。睡眠時間を削って稼いだお金が、睡眠不足のストレスを解消するためにアイスクリーム代に消える。
ナリワイをつくる -はじめに
そしてこのような状態がおかしいと、著者は次のように疑問を投げかけます。
(前略)人生の大半を、人生から乖離した仕事に占拠されてしまっていいのだろうか。
ナリワイをつくる -はじめに-
これすなわち、人生を盗まれている。
あなたはこの問いにどう答えますか?
僕はもちろんこう答えました。
自分の人生を仕事に盗まれるなんて、いやだ!!
人生を盗まれないための手段こそ、『ナリワイを持ち、つくる』ことなんです。
ナリワイってなに?
著者は本書冒頭で、ナリワイの定義を次のように書いています。
個人レベルではじめられて、自分の時間と健康をマネーと交換するのではなく、やればやるほど頭と体が鍛えられ、技が身につく仕事を「ナリワイ」(生業)と呼ぶ。
ナリワイをつくる -はじめに-
僕はこの中で、
やればやるほど頭と体が鍛えられ、技が身につく仕事
という箇所に細胞レベルで惹かれました。
これ、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーのようなロールプイングゲーム(RPG)に似てません?
やればやるほど(経験値をため)
↓
頭と体が鍛えられ(レベルが上がり)
↓
技が身につく(呪文や必殺技を覚える)
ゲーム好きの僕としては、これだけでワクワクするんですけど!
じゃあ、『ナリワイ』って具体的にどういったものなの?という話ですが、実は人が喜んでくれるものなら、なんでもありなんです。
ええ、なんでもあり。
・
・
・
と言われても、困りますよね。
そこで実際に著者が実践しているものを上げてみると、
- ブロック塀壊し
- 古民家の床はり
- モンゴル武者修行ツアー
- 田舎で土窯パン屋を開く
- 廃校舎でのウエディングプランナー
- 一棟貸し京町家の経営
などなど。
一見どれも難しそうですが、どれも最初は
「こんなのやったら面白そう」
という純粋な興味から始まったそう。
とりあえずやってみよっか、というゆる~い感じから、ナリワイは作っていけばいい。
起業ってめちゃくちゃハードル高いですよね。
僕の中では失敗したらすべてを失う覚悟を決めて、死に物狂いでスタートするイメージなんです。
でもナリワイは違う。
とりあえず興味本位で始めたものが、いつのまにか自分の身について稼ぐ種になる。
だから始めやすいし、飽きたらやめればいい。
躊躇するハードルを思い切って下げ、サクッと初めてしまえるのがナリワイの特長なんですね。
ナリワイを実践するコツ
じゃあ、なんでもいいんでナリワイを作ってみましょう!と言われてもピンと来るひとは少ないはず。
そこで、まずは生活に即したところからナリワイ生活を始めましょう。
たとえば著者が実践する「ブロック塀壊し」や「古民家の床はり」は、生活の中でもダントツにお金がかかる『住』の一部分です。
これができるだけでも『住』にかかるコストはずいぶん下がります。
もし経験値をためてレベルが上ったら、収入になることも夢ではありません。
そんなの業者の専門分野だから誰でもできないって?
この意識(世間では常識とされている考え)こそが、ナリワイの種になりうるのです。
(中略)たいていの人がコツを何点か教えてもらい訓練すれば問題ないレベルのことはできうるようになるものでさえも「自分には向いていない」と諦めてしまうことが非常に多くなってきている。これは、ナリワイをはじめるに当たってまず最初に除去していただきたい考えである。
ナリワイをつくる -第一章 ナリワイとはなにか-
常識を疑うことさえできれば、ナリワイはつくれます。
キーワードは「コツを覚えて特訓すれば人間たいていのことはできる!」だ。
ナリワイをつくる -第一章 ナリワイとはなにか-
そのために、経験値を得るための一歩を踏み出しましょう。
ナリワイは一人でしなくていい
とはいえ僕のようなめんどくさがり屋だと、どうしても何かを始めるのは億劫になりますよね。
そんな時は数人でするのも手だと本書ではアドバイスしています。
え、家庭があるから自由になる時間がない?
はい、僕も家族はいます。
だったら家族を巻き込むのはどうでしょう。
パートナーと二人で、もし子供がいるなら子供も合わせて家族全員で。
ちなみに僕は子供とナリワイを実践するのは、教育上非常に有効な手段だと考えています。
床はりなどの修繕作業(いわゆるDIYでしょうか)を子供が経験することで、生きる自信が生まれる。
生きる自信があると、簡単には自殺しない。
できることが増えると、精神的にたくましくなりますよね。大人でも子供でも。
机の上でする学習も大事ですが、暮らしを支える技術を手に入れると、また新たな景色を子どもたちが見られると思っています。
ナリワイを持つと自由を得られる
あなたがもしサラリーマンなら、ナリワイを持つと本職に縛られなくても済むようになるかもしれません。
なにしろナリワイによって徹底的に生活コストを下げ、さらにその技術を生かして収入源にする。
これぞ現代のリスクヘッジだとおもいます。
会社を辞めたい。
でも専業でやると収入の入り口が一つなので、自分や家族の生活を考えると辞めるにやめられない。
そんな自分を開放しましょう。
ナリワイは、それだけのポテンシャルを持っているはずです。
まとめ
僕たち『非バトルタイプ』は現代社会で普通に過ごすと、得てして『バトルタイプ』と同じ土俵で戦わなければならない罠にハマってしまいます。
そうではなく、『非バトルタイプ』にも生き残る方法があり、その一つの手段として『ナリワイ』があると僕は本書から教わりました。
あなたがもし、息継ぎのできないクロールをずっと泳ぎ続けている息苦しさを感じているなら、一度泳ぐことをやめて『ナリワイをつくる』で泳ぎ方を学ぶことをおすすめします。